ピックアップインタビュー

絶やさぬ「火」への想い〜 株式会社 ビイ・エス・エイ〜


絶やさぬ「火」への想い

北陸地方を中心に、暖炉・薪ストーブやサウナ施設に関する事業を展開する「株式会社ビイ・エス・エイ」。デジタル化や都市化が進む現代だからこそ、自然のエネルギーを通して、人・心・体に関わるサービスを提供し続けています。今回は取締役の池高純子さんにお話をお聞きしました。代表取締役社長である池高 明さんにもご同席いただいています。


素敵なショールームには暖炉もあり、会話が弾みます。

「火」に魅せられた事業承継

薪ストーブやサウナ施設に関する業種はとても珍しいですね。まずは創業の経緯と業務内容を教えてください。

主に、薪ストーブや暖炉、温浴設備の販売、 設置、メンテナンスをさせていただいております。近年は特にサウナ設備に関する仕事が増えていますね。金沢だけではなく、 富山営業所(JØTUL STUDIO)、福井営業所(ウッドペッカー福井店)もあり、北陸を中心にサービスを展開しております。  1984年に朴木隆司が北陸サウナ商会として設立し、1991年に株式会社ビイ・エス・エイに改組しました。そして2002年に、池高 明が4代目として社長に就任しました。

インタビューにお答えいただいた池高純子氏(左)と池高明氏(右)

同族経営ではなく、社員さんへの承継だったんですね。

当時建築を仕事としていた池高 明が、初代社長に声をかけられ入社しました。入社後「火」に魅せられた彼は、仕事を通じてお客様と共に良い時間を作ることに大きな喜びを感じたようです。次第に業務全般を任されるようになり、 4代目となりました。

火にはいつまでも見飽きることのない魅力があります。(写真提供BSA様)

デジタル時代だからこその「火」の魅力

お話に出てきた「火」の魅力とはどんなものでしょうか?

火を見飽きることはありませんよね。人類の歴史をみても、火は常に家の中心にありました。昔は生活の道具として扱われた火ですが、今では「楽しみ」や「癒し」としてその役割を変えてきました。火があるだけで自然に人が集まり、コミュニケーションが始まる、 それが火の魅力だと思います。

自然を強く意識する想いはどんなところにあるのでしょうか?  

私たちの仕事は自然界のエネルギーから生まれたものを利用して成り立っています。人間も自然の一部ですが、技術が発展して便利になればなるほど、人間は自然と共生していくことが大事だと思っています。またその事を伝えていくのが私たちの使命だと感じています。その一環としてお客様には「炎育(ひいく)」という考え方をお伝えしています。

「炎育(ひいく)」という言葉を初めて聞きました。どういったものでしょうか?

火の力を借りて、教育やコミュニケーションを促すことです。炎を見ると脳が活性化し、情緒の安定にも繋がるということが科学的に証明されています。
近年では、どの部屋でもボタン一つでエアコンが作動し、暖を取ることができるようになりましたが、 その結果、 家族が集まって過ごす団らんの時間が減っています。  先ほどお話しした通り、火は家庭の中心になる力を持っていますので、今こそぜひ火を囲む機会を作ってみて欲しいですね。

火を囲むことが最高のコミュニケーションツールになります。(写真提供BSA様)

一方で火は危ないと思う方もいらっしゃるのではないですか?

確かに、火は熱いですし、時には脅威になることもあります。しかし火との距離感や付き合い方を教えずに遠ざける方が大きなリスクになると思います。火の特性を知って正しく付き合うことが大切です。


確かにそうですね。具体的にはどのように取り入れたらよいでしょうか?

もちろん薪ストーブや暖炉があれば良いのですが、 ロウソクの火などでもOKです。大切なのは大人が子供と一緒に過ごすこと、同じ時間をどう共有するかということです。本物の火を見て、匂いや温度などを共に五感に感じることで、そこには笑顔や癒しが生まれます。そんな「火」の文化を後世に繋いでいって欲しいです。

サウナをブームに終わらせない。先を見据えた守るべきもの

話は変わりますが、昨今サウナブームが到来していますね。最近のトレンドやサウナの良さを教えてもらえますか?

日本に初めてサウナが入ってきたのは1964年の東京オリンピックの時でした。フィンランドを中心とした選手団の強い要望からサウナ施設が選手村に作られました。
その後、健康ランドやスーパー銭湯を中心にサウナが全国各地に広がっていきました。
そして今、インフルエンサーなどの影響もあり、若い人たちや、医療関係者、経営者を中心に第3次サウナブームが起こっています。新陳代謝の改善など健康面への良い効果や美容を意識した人も多くサウナを利用しています。また爽快感からくる「整う」というワードも今のトレンドです。加えて「ロウリュウ」「光」「ロケーション」など五感を刺激する仕掛けが増えたことも今のサウナブームの特徴です。
実はブームが過熱していくなかで、法的にグレーな状態での施設もあるようです。これから先、サウナがブームではなく文化として根付いていくためにも、法の整備なども訴えていきたいです。
そして安全性の高い商品開発にも力を入れていこうと思っています。そうすることでサウナは誰もが喜ぶ空間となり、文化として育っていくはずだと思います。


個人用のサウナも人気があります。(写真提供BSA様)

サウナがブームだからこそ、大切な啓蒙活動ですね。

一方で、サウナの楽しさ自体はもっと発信していきたいと思っています。その活動の一つとして、コロナ禍の中始めた「ハッピーサウナ」というプロジェクトに取り組んでいます。
ハッピーサウナとは、サウナー、サウナ施設様、サウナを支える全ての人を応援するプロジェクトです。サウナグッズの販売やサウナ情報などをSNSで発信し、施設やサウナ自体の魅力を伝えています。人と人を取り巻く環境を提案し、全国のサウナを作ってきた私たちだからこそ、サウナを通して伝えられる想いがあります。それはワクワク感であり、幸福感や驚き、爽快感などもあります。
サウナに限りませんが、「火」との関係性は人それぞれです。「火」を通して自分自身と向き合う時間を提供できれば嬉しいです。

ハッピーサウナプロジェクト。Tシャツやサウナハットなどのグッズもあります。(写真提供BSA様)

「お客様の守り札となる。そして自然との架け橋となる」

最後に、会社が大事にしている想いと、これからのビジョンを教えてください。

私たちはこれからもお客様の安全と笑顔を守り続ける「お客様の守り札」でありたいと考えています。それが私たちの幸せでもあるからです。  火を通して得られる心の豊かさ・喜びを社員とも共有し、次代に繋いでいきたいと考えています。そして人と自然の架け橋となり、自然の恵みを生かした、心安らぐ空間を提供し続けたいですね。

 


お客様の守り札となる。BSA様スタッフ一同。(写真提供BSA様)

社内には素敵な暖炉が多く取り揃えられています。

株式会社 ビイ・エス・エイ
住 所:石川県金沢市近岡町365番地1
電 話:076−237−1760
FAX:076−239−3191
URL:https://www.bsanet.co.jp/
設 立:1984年
従業員数:11名

取扱い商品
業務サウナ、ホームサウナ、暖炉、薪ストーブ、ペレットストーブ、
特注暖炉、ストーブ、檜風呂、ジャグジー、アウトドア商品

関連会社
北陸の薪ストーブ屋さん Woodpecker
JOTUL STUDIO

関連プロジェクト
ハッピーサウナ