ニューヨークの雑貨に魅せられて
全国の大型ショッピングモールで帽子やバッグ、傘などの生活雑貨を販売する株式会社CHELSEA New York。
モダンかつレトロなニューヨークスタイルの雑貨を中心に、ハイセンスなアイテムを豊富に取り扱っています。
今回は代表取締役社長の今村慎一郎氏に全国展開する店舗の運営や将来の展望についてお話を伺いました。
代表取締役社長 今村 慎一郎 氏
ニューヨークで見つけた素敵な雑貨
まずは創業の経緯からお教えください。
私は生まれも育ちも七尾で、大学は県内の金沢経済大学(現金沢星稜大学)の二部(夜間)に通っていました。
大学卒業後、昼間働いて貯めていたお金を元手に自身の勉強も兼ねてニューヨークへ旅に出ました。バックパッカーのようなもので、ニューヨークからボストン、カナダのトロントなどを巡る3ヶ月程の放浪旅です。
その道中ニューヨークの雑貨屋さんで、当時の日本では目にしたことがないすごく可愛らしい歯ブラシを見つけ「日本に帰ったらこの歯ブラシのような、日常を少しだけ彩る雑貨を扱うお店をやってみたい」 と思ったのが起業のきっかけでした。
帰国後すぐに雑貨店に一度就職しましたが、1998年には独立して雑貨業をスタートさせました。
アパート1階の1区画14.7坪という小さなテナントで、 雑貨業の他に結婚式の引き出物の卸業などもしており、 当時ミレニアム婚ブームもあって事業は順調でした。
ノストラダムス婚なんてブームもありましたし、 2002年の形をしたメガネもよく売れました(笑)
「CHELSEA New York」は2000年に立ち上げました。高級感のある洗練された街並みのチェルシーが名前の由来です。
ロードサイドから全国へ
現在は全国のイオンモールを中心に多くの出店をされていますが、テナント店舗に進出したきっかけは何でしょうか。
当初はロードサイド店舗をメインに、福井県のショッピングモールにもテナント出店させてもらっていました。
ショッピングモールというのはすごく集客力があって、次の事業展開として大型のショッピングセンターと交渉していたのですが、出店直前で破談になってしまいました。戦略の再考が求められている時、イオンさんにお声をかけていただいたのです。ちょうど「金沢フォーラス」がイオングループ傘下になったタイミングでした。
本来5階の雑貨店フロアへの出店を勧められていましたが、ハイブランドの多い低層階でもお客様を呼び込めると信じていたので、レディースがメインの2階に出店させてもらいました。
結果として来店者数部門で他店舗を圧倒したんですね。ロードサイドで8年やっていたという認知度が良い結果につながったのだと思います。
また「CHELSEA New York」の外観や内装から一見モダンでハイブランドな雑貨を扱っているという先行イメージと、実際のリーズナブルで手に取りやすい商品ラインナップのギャップも良い方向に働いてくれました。
その点を評価され、埼玉県の越谷レイクタウンという日本最大規模のショッピングセンターをはじめ、名古屋、滋賀県草津など全国のイオンモールを中心にテナント出店させていただきました。
県内では現在イオンモール白山に出店しています。
その後順調に店舗数も増えて2022年には売上高68億円、利益高含め過去最高を記録されましたね。
店舗数も約90店舗まで増え、 従業員はアルバイトを含めて約900名です。社員は関連会社含め約240名で、全店舗直営店です。
当面の目標は200店舗、売上高150憶円を目指しています。
今後は「CHELSEA New York」を中心に姉妹店の「PARIS JULIET」などの店舗数を増やしていく方針です。
店舗数が増えると管理・運営も大変ではないですか。
役員だけですべての店舗状況をクイックに把握するのはなかなか難しいですね。
特に商品発注に関わる部分は各店舗の判断でメーカーに直接注文をしていたので、店舗によって品ぞろえにばらつきがありました。
そこで本部から直接発注できる新発注システムを導入しました。
各店舗の在庫数、売れ筋などを自動計算して定数発注するシステムで、従来発注作業に使っていた時間を商品ポップや店舗レイアウトの強化に充てることができるようになりました。直接お客様の目に触れる部分ですし、店舗スタッフのモチベーション向上にも効果が大きかったと思います。
機会ロスを減らすことで売り上げの低迷していた店舗のボトムアップにも貢献してくれました。
あとはコロナ明けの購買意識の反動も売り上げ増の大きな要因の一つですね。
失敗しても何度でもやり直せる
小さな雑貨店からスタートして全国展開するまでのお話は、新社会人や起業を目指している方にとってはとても励みになると思います。そういった方に向けて何かメッセージはありますか。
私には3人の息子がいるんですけども、常に70点は取りなさいと伝えています。もちろん100点を取るのはいいけど30点はだめですよと。スポーツでも勉強でも、広く浅くというより、どこにでも通用する人間になってほしいですね。
一方で、何かの分野で突出するのも成功のひとつだと思います。そこから横の繋がりが生まれることもあります。両極端な話ですけど、昔は「出る杭は打たれる」こともありましたが、そこから突き抜けることができるのが今の時代なのかなと思っています。
起業に関しては、それこそ学生さんにもトライしてほしい。
私の若い頃に行ったニューヨーク旅も失敗の連続でした。当時インターネットも普及していませんし、旅行代理店と「地球の歩き方」という冊子だけが頼りでした。
今ならスマートフォンで翻訳などもできますが、英語を話せなかったので当然言葉も通じません。不安で泣きながらチーズバーガーを食べていた記憶があります。
それでも今思えば、若い時分の経験はすべて財産ですし、そこで失敗してもリスタートはいくらでもできます。
新しいことにチャレンジし続けることで、常に自身をアップデートしていきたいですね。
株式会社 CHELSEA New York
住 所 石川県野々市市御経塚3丁目488
電 話 076−240−7838
FAX 076−240−7839
URL https://www.chelsea-ny.com
設 立 2008年11月1日
事業内容 服飾雑貨・インテリア雑貨の販売