インタビュー

日本の伝統を継承する〜森佐株式会社〜


日本の伝統を継承する

今回お話を伺ったのは、人形やお祭り用品など日本の伝統品を扱う「森佐」さん。ちょうど節句前のお忙しい時期にもかかわらず、代表取締役社長の森 昭夫さんに会社経営の秘訣やご苦労などをお聞きしました。

時代の変化に対応しながら

会社創業が大正6年と大変な歴史をお持ちです。まずは創業時のお話を伺えますでしょうか。

初代である佐太郎は、当初袋町に大きな店を構えていた松川商店さんに丁稚として勤めていましたが、その後独立し、呉服や綿布を扱う商売を始めました。松川さんやそのお取引先にも目をかけていただいたことで繁盛したようですね。その後戦争もあったことで一時商売を中断し、国策統制会社に参加しましたが、父、佐久次が復員後は再度綿布問屋としてお店を立ち上げ、布団や毛布、ママコートなどの和装商品を扱ってきました。ただ大型店舗の進出などもあり何かしら新しい方向性を求めていた頃に、 懇意にしていた仕入先から鯉のぼり・節句人形などを扱う代理店として声をかけていただき、それが今のお店の形態につながっています。平成に入ってからはより本格的に節句人形を取り扱うようになり、また本来、綿布等を扱っていたことから、お祭り用品などの需要にもお応えしています。

初代である森 佐太郎氏

時代にあわせてご商売も変遷してきたわけですね。ただ人形などもその時々の流行があり、 取り扱いは大変ではありませんか?

昔は七段飾りなど比較的大きなものが主流でしたが、現在では親王飾りと呼ばれる男雛・女雛の二人だけを飾るものが多くなっています。また 「人形は顔が命」 ともよく言われますが、やはり流行がある上、その好みもお客様によって異なります。幸い私どもの会社では人形の老舗である吉徳さん、 久月さんの両社とお付き合いがあり、多種多様なお人形を取り扱っていますので、お客様のお好みに合わせたものをご用意できているかと思います。

 

色とりどりの雛人形

冑などの五月人形も豊富に揃う店内

 

最近ではネットを利用したお問い合わせも多いと聞きました。

やはりこの業界においても、まずはネットからというお客様が増えています。最近では変わり雛として木製のものや外国のテイストなどが加わったデザインも人気があり、ネットでのお問い合わせ、ご注文が増えています。ただ比較的高額なものに関しては、実際に来店されてから購入を決められる方も多く、お子さん、お孫さんへの大切な贈り物として、じっくりと選んでいただくのも良い方法だと思います。

木製の変わり雛は若い世代にも人気がある

お客様の熱意に応えるサービス

節句が終れば、夏から秋にかけてお祭りのシーズンとなります。こちらの店内にも様々な祭り用品が並んでいますね。

一口にお祭り用品といっても様々なものがありますが、法被や半纏、けんたい(前掛け)などは当社オリジナルのものやお客様のご希望のデザインに沿ったものをお届けしています。その他、提灯やのぼり、のれんなど祭りに関わるものであれば、トータルでお客様にプロデュースできるよう体制を整えています。ご相談にお見えになるお客さまは皆さん心から祭りを楽しみにされていますし、その熱意も十分に伝わってきます。そういった気持ちに応えられるようなサービスを提供していきたいですね。

様々なお祭り道具

私たちが楽しんでいる各地のお祭りでも、森佐さんが携わったものがたくさんありそうです。

石川県、特に能登地方は祭りが盛んな地域であり、能登町の「あばれ祭り」や穴水の「沖波大漁まつり」、飯田「燈籠山祭り」などは例年大きな盛り上がりを見せています。ただ昨年はコロナの影響でそのほとんどが中止となり、私ども以上に主催者の皆さんが残念がっているかと思います。やはりお祭りは各地域で大切に受け継がれているものですし、地域の活性化につながりますので、今年はぜひ開催されるといいですね。

最後に森さんが経営上で大切にされているモットーなどを教えていただけますか。

先ほど出ましたネット時代への対応も含め「常に新しいものに挑戦していく」その気持ちは忘れないようにしていきたいですね。人形や祭りは綿々と過去から受け継がれてきたものですが、それらを扱う上でも今の時代、そしてこれからの時代に即した経営、商売の方法を取っていくことで、それが日本の伝統文化の継承にもつながっていくと思います。

森佐株式会社
住 所 石川県金沢市問屋町2丁目85
電 話 076−237−8888
FAX 076−237−7150
https://morisa.co.jp/
設 立 昭和26年(創業大正6年)
取扱い商品
はんてん・祭・旗・幕・のぼり
雛人形・五月人形・こいのぼり
綿布生地