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「つくる」と「たべる」のあいだに 〜株式会社米心石川〜


「つくる」と「たべる」のあいだに

株式会社米心石川は2007年に県内3つの米穀卸会社と1つの炊飯会社が統合し、創業されました。
現在は米穀事業、炊飯事業、商事事業の3つを柱として多くの食卓に笑顔を届けています。
今回は代表取締役社長の寺田吉浩氏にお話を伺いました。

代表取締役社長の寺田吉浩 氏

米を中心とした事業を幅広く展開

まずは御社の事業内容を教えてください。

当社は、2007年に石川県米穀株式会社、北陸中央食糧株式会社、株式会社パールライス石川並びに石川県炊飯株式会社の4社統合して誕生しました。
来年は15周年を迎えますが、人でいうとまだまだ中学生という段階で、これからどう成長してくかという段階です。

事業内容は米穀事業、炊飯事業、商事事業の3つを柱としています。

・米穀事業(玄米の集荷・販売、精米の製造販売)
石川県で生産されたお米を主力商品として、石川県内を中心に事業展開しています。
当社の精米工場では、精米がタンク毎移動する「多用途搬送システム」を全国で初めて導入し、安全で美味しい精米商品づくりに努めています。
一般家庭用精米商品は石川県内でトップシェアを誇っています。その他、業務用としてコンビニや外食向けなど、お米については精米・玄米問わず様々な商品をラインナップしています。

・炊飯事業(ごはん・おにぎり・寿司などの製造販売)
当社の精米工場で精米されたお米を使用し、炊飯工場でご飯・おにぎり・お寿司・赤飯・おはぎなどを製造しています。
量販店や外食向けはもちろん、金沢市近郊の小学校・中学校向けの学校給食を6割程度請け負っています。また、幼稚園向けのお弁当なども製造しております。
当社の炊飯工場では、北陸初の産業用ロボットによるIH炊飯システムを導入し、高度なセキュリティー、衛生管理のもとで製造しています。

・商事事業(乾麺・食用油・小麦粉・パックご飯・米粉などの販売)
乾麺、食用油、小麦粉、パックご飯、米粉などの食品原材料の卸売を行っています。
当社は「兵庫県手延素麵協同組合」「昭和産業株式会社」「株式会社はくばく」などの特約販売店として、幅広く商品を取り揃えています。

田んぼの笑顔を食卓の笑顔につなげたい

お米を扱っているという強みを多方面に広げられているのですね。
そのような中、御社が大切にしている考え方や理念はありますか?

株式会社米心石川の理念は、地元の農家が育てたお米を中心とする農産物を真心込めて安全安心な食品として地元の消費者の皆様に安定的にお届けすることです。
人々のいのちを支え続ける石川の豊かな水田は、ふるさとの風景を彩り、自然環境を守っています。
米心石川は、石川の生産農業の愛情をいっぱいに受けて実ったお米をマイハートブランドの商品として地域のみなさまにお届けするとともに、炊飯・加工を通して、お米の消費拡大に努めています。
田んぼの笑顔を食卓の笑顔につなげたい。これが「つくる」と「たべる」のあいだに存在する米心石川の思いです。

人が企業を作り、未来を作る

農業界は、現在ものすごいスピードでデジタル化が進んでいるとお聞きしますが、御社ではいかがでしょうか?

お米は、産地や銘柄によって、見た目、香り、粒感、粘り、味が異なるうえ、収穫後は少しずつ品質が変化していきます。
また、精米時にこすれ合うなどしてお米の温度が上がると、割れや乾燥の原因となって品質低下につながることもあります。
米心石川では、いつ食べてもおいしい、一年を通じて安定した味わいのごはんをお客さまに提供するため、最新鋭設備の導入や品質管理部門との連携による検査体制の強化などを行い、お米ごとに最適な精米を行っています。
また、人の目と手による厳しいチェックも加え、より高いレベルでの品質安定化に努めています。

その中でも、世界初の精米タンク自体を搬送する「多用途搬送システム」を導入できたことは大きいと考えます。
このシステムは、ベルトコンベアーなどを使う従来方法に比べて白米へのダメージを減らし、できあがった精米の品質を保持することができます。
また、玄米が精米工場に入った時点で穀粒判別機による品質検査を実施。解析データを元に、銘柄、ロット毎に最適な精米方法をとっています。
できあがった製品は炊飯食味試験やロット毎に品質検査され、品質の監視と維持をすることができるようになっています。

設備導入もしっかりとされていて、近代化されているんですね。
これからの事業展開として、さらに力を入れていこうと思っていることはありますか?

近年では、人口減少や食の多様化ということもあり、お米が余ってしまうこともあります。
需要が減っていくと、生産者さんからお米を買うことができません。こうなってしまうと、私たちの理念やミッションに近づいていくことが難しくなってきます。
これからは、改めてお米の本当の魅力を見つめ直し、用途、流通形態を拡大して行きたいと思っています。
例えば、米粉や冷凍米などの活用方法を研究していくことなどは、すでに動き出しています。

確かに食の多様化が進んでいる今だからこそ、改めてお米の良さを伝えていくことは大切ですね。
昨年からのコロナウイルス感染拡大の影響はいかがでしょうか?

外食事業の減退などもあり、当社も少なからず影響を受けています。しかし社員の力を結集することでなんとか乗り越えることができています。
どれだけ設備や環境が近代化、デジタル化したとしても最後はやっぱり「人」です。
炊飯事業では、若い力が結集して、商品開発が自主的に行われるようになってきました。
また細やかな作業や、夜間の作業、ニーズに沿った対応は「人」が協力して考えながら進めています。
ここに私たちの強みがあると感じています。

頼もしい社員さんたちですね!

会社は決して経営者、役員のものではありません。そこで働くすべての社員の幸せのためにあります。
だからこそ、これから先の10年は社員と共に考え築いていきたいです。
会社として人を育てていくことが、実は経営の中で一番重要なことなのです。

最後に、これからのビジョンを教えてください。

米穀事業においては、お米の魅力の再発見、そしてニッチ商品を販売していくなど、県外への進出に力を入れること。
炊飯事業では、冷凍商品の開発・販売。物流センターの構築なども視野に入れていくこと。
そして50年100年残る会社にしていくことで、地域の農業や農家さん、食卓の笑顔を守り続けることを目指します。
そのためにはやはり「人」が肝心です。理念に沿ったフィロソフィーやポリシーなどを作ることで、社員一人ひとりの人間的成長ひいては企業の成長を促します。
そしてこのビジョンが、理念へ向かう道標となるのです。

株式会社米心石川
住 所:石川県金沢市松島1丁目1番地
電 話:076-240-5788
FAX:076-249-3934
URL:https://beishin-i.co.jp/
設 立:平成19年(2007年)

事業内容
・米穀事業(玄米の集荷・販売、精米の製造販売)
・炊飯事業(ごはん・おにぎり・寿司などの製造販売)
・商事事業(乾麺・食用油・小麦粉・パックご飯・米粉などの販売)