インタビュー

生活に彩りと憩いを、心に豊かさを。〜株式会社 金子生花店〜


生活に彩りと憩いを、心に豊かさを。

株式会社 金子生花店 専務取締役 金子 直裕 氏

金沢最古のお花屋さんである「金子生花店」は、長年の経験と花に関する豊富な専門知識を活かし、地域に彩りと憩いを与え続けてきました。今回は同社専務取締役の金子直裕氏にお話を伺いました。

|創業239年を迎える老舗花屋の長寿経営の秘密

まずは、創業の経緯を教えてください。

弊社は、江戸時代の安永10年(1781年)に創業し、今年で創業239年を迎える老舗の花屋です。創業者である越中屋平吉は米問屋に奉公しており、その真面目な働きぶりが、当時加賀藩前田家7代藩主であった前田宗辰公に認められました。そこで花が好きであった平吉が、花を商いにしたいと宗辰公に願い出たところ、加賀藩の寺の花や松を扱うことが許されたのが会社の起源です。

当時、松の木というのは参勤交代など大名行列を行う際に目印とされていたため、藩主の許可なく扱うことは許されませんでした。

239年前に前田宗辰公より花の商いの許可得た際の許可証

それにしても創業239年はすごいですね。社会から選ばれ、成長し続けられる秘訣は何でしょうか?

それは「徹底した顧客ニーズへの対応」です。高度経済成長期にはお茶や生け花が嫁入り修行などで流行し、大きく業績を伸ばしました。またホテルや葬儀場の数も増え、その催事など多くの需要に対応してきました。ありがたいことに、そこで得られたお客様からは厚く信頼をいただいており、リピーターというよりもお店のファンでいてくださるようです。

現在は個人の価値観の多様化が進んだこともあり、ウェディングはホテルからハウスウェディングに、葬儀は家族葬に、というように冠婚葬祭のあり方も細分化されてきました。そんな中だからこそ、長年蓄積した独自の仕入れルートと専門的な知識を強みにし、他の花屋では手に入りにくい花を集め、お客様の要望や想いに寄り添い、提案・コーディネートすることを大切にしています。

現在はどのような事業を行っていますか?

現在は、代表である金子福夫と私が中心となり、結婚式場、ホテル、お寺などでの冠婚葬祭に使われる花の卸をBtoBを中心として事業を展開しています。中でも独自のルートから仕入れる胡蝶蘭は他の花屋と比べ長持ちすると評判になり、看板商品になっています。また生け花教室やプリザーブドフラワー、個人宅への配送などBtoCへの事業も行っています。加えて最近は婚活パーティーのセッティングや花展へ出展される方への選定サポートなど、幅を広げるようにしています。

長持ちすると評判の胡蝶蘭

金子さんが思うお花の良さは何でしょうか?

お花は自分を表現したり、相手に想いを伝えたり、誰かを幸せにしようという気持ちに彩りを添えられるところが良さだと思っています。人を大切に思うことで自身も優しい気持ちになり、相手に幸せが届くと信じています。また自然から命と彩りを借りているということもあり、強い生命力、生きる活力を感じられるところも好きですね。

小さな幸せと感謝の花束を地域に届ける

時代に合わせて変化し、成長し続けてこられたんですね。お花の良さに対する想いも素敵です。最後に今後のビジョンをお聞かせください。

今年は新型コロナウイルス感染拡大により、冠婚葬祭の縮小や延期、入学式、会合等の催し物の中止などの影響を大きく受けました。この先も前と同じ社会に戻るとは思っていません。また新たに市場や社会のニーズの変化を見極め、自社のあり方を探していきたいと思っています。
とにかく今は前を向き、家で過ごすことが多くなった人々の気持ちに「お花を通じて彩りと憩いを提供しよう」と、個人のお客様へお花のある生活を提案しています。お花があることで暮らしに彩りが添えられ、心にゆとりが出来たり、ちょっとした微笑みや小さな幸せが生まれます。その積み重ねが心の豊かさに繋がっていくと信じています。これが私たち金子生花店の役割だということを、コロナという経験を通して感じることができました。
これからもお花を大切に一本一本、一輪一輪集めて花束にするように、お客様の感謝を集め、地域に大きな笑顔の花束を送り続けていきます。

 

株式会社 金子生花店
住 所 石川県金沢市橋場町3─17
電 話 076─221─1237
FAX 076─262─7654
HP: https://f-kaneko.hanatown.net/
配達可能エリア 金沢市、野々市市、河北郡(内灘町・津幡町)