ピックアップインタビュー

お客様の心に響く家づくり 〜株式会社家元〜


お客様の心に響く家づくり

石川県金沢市を拠点に、独自の観点から家づくりの提案を行う株式会社家元。
2023年4月に完成した新社屋「Node」にて、代表取締役の羽田和政氏にお話を伺いました。


代表取締役の羽田和政 氏

創業から15年間の歩み

2009年に会社を創立されてから15年目を迎えられたのですね。まずは会社設立の経緯を教えてください。
大学時代に大工のアルバイトを経験したのですが、その時に家づくりこそが自分の天職だと強く感じました。1日でも早く現場にという思いから大学を中退し、20歳から大工として働き始めました。その後、4年間の経験を経て住宅会社に転職し、現場監督や支店長として勤務しましたが、子どもの頃から起業を夢見ていたこともあって、退職を決意し現在の会社設立に至りました。

その後は富山支店の設置や新社屋を建てられるなど順調に推移されてきたようにお見受けしますが、ここ数年のコロナ禍の影響はいかがでしたか。
住宅産業において経済不況などの問題は、発生直後ではなく、しばらく経ってから影響が出る傾向があります。弊社はリーマンショックの翌年に設立しましたが、当初は順調でした。しかし、その2年後あたりから家づくりを控える動きが徐々に出始め、数字を上げることが難しい時期が続きました。今回のコロナ禍においても発生当初の2020年は比較的安定していましたが、落ち着きを取り戻しつつある現在の方が、業界全体では厳しい状況に立たされています。
ただ、この15年さまざまな苦労がありながらも、人との出会いには恵まれていたと思います。そのおかげもあり、富山支店の開設や社屋の建設も、当初考えていたよりも早く実現できました。


「樹」と暮らす家


灯りに惹かれる家

金沢の文化と建築

ホームページを拝見しますと、「家魂匠才」という社是や「金沢らしい家づくり」という言葉が目を引きます。家元さんにとっての金沢らしさとはどういったものなのでしょうか。
私見ではありますが、“金沢らしさ”とは“遊びごころ”ではないかと思います。金沢にはお茶や遊びの文化があり、東茶屋街にもそれが残っていますよね。この“遊びごころ”を家づくりにもさまざまな形で落とし込むことができると考えています。
金沢は四季が美しく、昔から春夏秋冬に適応するための家づくりがなされてきました。京都の茶屋街と金沢の茶屋街は一見似ているかもしれませんが、細部を見ていくと違いがあり、風通しを良くするために中庭や格子を取り入れるなど、湿気の多い金沢の気候に合わせた細かな工夫が施されています。そういった繊細な家づくりが金沢の建築物の魅力だと感じています。

この新社屋「Node」も設計や構造が独創的ですね。
社屋の設計には特に力を入れました。お客様と自身にとって魅力的な空間を目指し、単なる利便性だけでなく、人々が交流できるコミュニティスペースとしての要素を取り入れています。細部にもこだわり、外壁ひとつをとっても通常の建築ではめったに使われないような手法や材料を採用しています。社屋そのものが大きなアート作品のような存在ですね。


社屋は夜にライトアップされ、昼とは違った雰囲気を演出している


中庭に植栽されたシャラの木は、季節によってさまざまな表情が楽しめる

1階にはカフェも併設されています。
1階は、地域の人々も利用できるシェアスペースとなっています。昼にはフルーツむらはたさんによるカフェが、夜には出張レストランが開かれることもあります。

家づくりは多くのお客様にとって一生に一度の買い物となるかと思います。家元さんがお客様と接する上で、最も大切にされていることは何でしょうか。
やはり、ご相談時からお客様に寄り添い、お客様と一緒に家づくりを行うことでしょうか。お話を伺い、それぞれ事情や背景が異なる中でさまざまなご提案をさせていただいております。完成した家を初めてご覧になった時に、感極まって涙される方も多くいらっしゃいます。単なる住宅の提供ではなく、お客様の心に響くような家づくりを今後も目指していきたいですね。

後世へ継承していく役割

社内には若い社員さんが多くいらっしゃいますね。
新卒で入社している社員がほとんどです。女性社員も多数活躍しています。
社員のみんなにはいつも笑顔で、楽しみながら仕事をしてほしいと思っています。お客様を幸せにするためには、まず社員自身が幸せであることが良い仕事をしていく上で大切だと考えています。

それは素敵な考え方ですね。今後はどのような事業展開をお考えでしょうか。
少子高齢化により住宅産業は縮小傾向にあり、更に市場の大部分をローコスト住宅や大手住宅会社が占めています。この状況下で、地元の住宅会社は厳しい現実に直面しています。
今後、私たちは自身の能力を最大限発揮するためにも住宅に限らず新たな分野へ進出し、事業の幅を広げていく必要があると考えています。住宅会社という枠を越えて、建設会社として多岐にわたる事業展開を目指していきます。

時代とともに変遷が必要なのですね。
企業の在り方も時代の流れとともに変化しており、企業の合併や買収が一般的になっています。ただ、私たちは社名に「家元」と掲げ、後世に知識や技術を継承していかなければならない役割を持った企業だと考えています。会社を1日でも1年でも長く続けて、将来的には50年、100年という先の世代に引き継ぎ、地域からも愛される存在へと成長していきたいですね。

株式会社家元
住 所 石川県金沢市問屋町1丁目27番1
電 話 076-255-1201
FAX 076-255-1202
URL https://kanazawaiemoto.jp
設 立 2009年6月5日
従業員数 30名

事業内容
新築・リノベーション事業、メディカル事業、動物病院向け支援事業
不動産/投資事業、メンテナンス事業、CSR推進活動、飲食/物販事業